厚生と幸福

人の望みとよろこび

線の上で

髪を切りたくなってきた。当たり前だが思えばずいぶん外に出ていない。外出自粛の時勢をみれば私は模範的かもしれないが、本当はただ出不精なだけかもしれない。家の中ですべてが完結する生活。ふだんのあれだけ忙しく出歩いては家には寝に帰るだけの生活が…

殉教

独り暮らしでなくて良かったと切に思う。ここ数日は学生寮の友人たちと談話室に集まって各々の勉強をしたり、いつものようにスマブラをしたり、若干の季節外れの感もあるがもつ鍋をしたりして楽しく過ごしている。 SNSをみるに、友人で独り暮らしの者は孤独…

Tant crie-t-on Noël qu’il vient.

記事タイトルはフランス語の持ってまわった言い回しのひとつで、「クリスマス、クリスマスと盛んに叫んだのでとうとうクリスマスがやってきた」という言い方が、転じて「ずっと待ち続けていたら[その話をしていたら]とうとう望みがかなった」という意味を…

共感

ひとと真剣に向き合っているひとというのはすこし話しただけでそれとわかるもので、私のように日頃から人間関係をおろそかにし続けている者からすると、そうした人間にめぐり合うたび暗澹たる思いに駆られる。では〝真剣に向き合っている〟というのはどうい…

憂鬱

昨日、稽古が始まった。本読みや舞台稽古をするより前に私の所属しているサークルでは暖気と発声のための一定のワークをこなす習慣になっている。まったく100年ぶりくらいに外を走ったり腹筋をしたりしたところ、完全に身体がやられた。咳やくしゃみをすると…

懶惰

同期の三人で合同製作していた脚本がひとまず完成した。集まれないときは定期的に電話会議をするなどかなり時間をかけてつくってきた脚本だった。おもしろいものができたと思う。あとは稽古場での役者とのコミュニケーションをとおした新しい発見と、実践に…

統治の教場

我がフランス文学研究室にはお世辞にも優秀な生徒が揃っているとはいいがたい。私はまったく勤勉で能力もあり、教室内の治安維持にも努めているつもりであるが、私一人のわずかな尽力では、愚かなる学生たちを前にすれば焼け石に水を注ぐようなものである。 …

やがて君になる 加藤誠監督メッセージ

‪胸の奥底に広がる小さな宇宙*1。‪誰かを愛おしく想う、感じることで輝きだす‬‪眩しくて儚い美しい星々の光たち*2。‬‪誕生と消滅を繰り返す中、幾ら待っても‬‪訪れない光*3も沢山あって……。‬ ‪10代のココロの天体観測*4。‬‪ロマンに満ち溢れている筈なのに、…

かわいい女(TBS日曜劇場『A LIFE〜愛しき人〜』)

やはり無邪気な女というのはかわいらしいと思います。しがらみに縛られた女というのもまた特有のかわいらしさがあるのですが、何事にも目を奪われずにまっしぐらに目標へ向かって邁進する女。なんといってもこれに尽きる。女というのは迷いのないのが一番だ…