厚生と幸福

人の望みとよろこび

2019-01-01から1年間の記事一覧

Tant crie-t-on Noël qu’il vient.

記事タイトルはフランス語の持ってまわった言い回しのひとつで、「クリスマス、クリスマスと盛んに叫んだのでとうとうクリスマスがやってきた」という言い方が、転じて「ずっと待ち続けていたら[その話をしていたら]とうとう望みがかなった」という意味を…

共感

ひとと真剣に向き合っているひとというのはすこし話しただけでそれとわかるもので、私のように日頃から人間関係をおろそかにし続けている者からすると、そうした人間にめぐり合うたび暗澹たる思いに駆られる。では〝真剣に向き合っている〟というのはどうい…

憂鬱

昨日、稽古が始まった。本読みや舞台稽古をするより前に私の所属しているサークルでは暖気と発声のための一定のワークをこなす習慣になっている。まったく100年ぶりくらいに外を走ったり腹筋をしたりしたところ、完全に身体がやられた。咳やくしゃみをすると…

懶惰

同期の三人で合同製作していた脚本がひとまず完成した。集まれないときは定期的に電話会議をするなどかなり時間をかけてつくってきた脚本だった。おもしろいものができたと思う。あとは稽古場での役者とのコミュニケーションをとおした新しい発見と、実践に…

統治の教場

我がフランス文学研究室にはお世辞にも優秀な生徒が揃っているとはいいがたい。私はまったく勤勉で能力もあり、教室内の治安維持にも努めているつもりであるが、私一人のわずかな尽力では、愚かなる学生たちを前にすれば焼け石に水を注ぐようなものである。 …